エコキュートは原発政策の一環だった

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(by paco)ピーク電力とベース電力という言葉は、この夏すっかり定着した。夏の猛暑の昼間、電力需要はピークになり、深夜は人々の活動が下って、通年で最も低い電力、つまりいつも必ず供給しておくべき電力をベース電力と呼ぶ。

原発の電気はベース電源としてしか使えない。原発は出力調整ができず、常にフルに発電している必要があるから、ベース電力を越えて原発をつくってしまうと、電気が電力系統(電線網)にあふれてしまい、壊れてしまうからだ。

日本ではすでに25%程度原発の電気を使ってきたが、365日24時間いつも最低必要とされる電力はピークの25~30%程度であり、これ以上の原発は使えないのだ。

この上限を突破しようと、電力会社と経産省が考え出したのが、エコキュート。深夜に余った原発の電気を使って、昼間必要なお湯をつくっておこうという機器で、これが普及するとベース電力が押し上げられ、原発の増設が可能になる。

エコキュートは、ヒートポンプ式の給湯器だ。ヒートポンプは、電気のエネルギーを直接熱にするのではなく、空気中から熱をかき集める(くみ上げる)機械だ。そのため、効率の良いヒートポンプは投入した電力エネルギー以上の熱をかき集めることができる。

つまり、投入した電力エネルギーを越える熱を使える(つくれるのではない)という点で、エコキュート自体は確かにエコな製品だ。しかし、普及の目的が悪い。原発をつくる口実に使われるからだ。

実際、エコキュート用の深夜電力は激安だった。通常、昼間の電気料金は1kwあたり20~30円前後が一般的だが、このオール電化による割引契約を結ぶと深夜の時間帯は1kwあたり約7円という安さになる。3分の1~4分の1だ。深夜帯は、火力発電はほぼ止めてしまう。原発だけが電気を作り続けている。

原発の電気はこのように「投げ売り」されていたのだ。

 

ちなみに原発の電気の原価は5円台/kwhと公表されていたが、これでは電力会社のもうけは全くないことになる。原価割れしてでも使ってもらわないと、電力をつくりすぎてしまうのが、日本の現状だったというわけだ。

エコキュートの「eco」は、エコロジー(環境に良い)ではなく、エコノミー(経済的)に過ぎなかったのだ。

すでにエコキュートを使いのかたにはショックな話かもしれないが、これが現実だ。

となると、今後、原発が止まるにつれて、深夜電力は値上がりを余儀なくされるだろう。多少エコロジーかもしれないが、エコノミーではないエコキュート、これからどう使っていけばいいのだろうか。

脱原発の中で、再エネが増えていく、となれば、風車は夜中も回って電力を作り続けるし、波力、潮力、地熱、小水力、いずれも24時間営業。これらが増えて、ベース電力を超えれれば、それをエコキュートに使うという選択肢も「あり」だ。

その一方で、余剰電力はR水素(再エネの電力で水を電気分解してつくる水素)に変えて貯蔵、再利用するという方法もある。短期的にはエコキュートが、長期的にはR水素というタイムスケジュールになるだろう。

エコキュートそのものは、ガスや石油の給湯器と比べて効率はいいし、エコロジーだ。原発から切り離しても、エコノミーかどうかが、今後使い続けられるかどうかのポイントになるだろう。