太陽光パネルや小水力の利用による環境破壊は比較的軽微である

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(by paco)太陽光パネルを大規模に使っていく場合の、環境への悪影響について考える。

一般に、パネルを設置すると、その下には日照が届かなくなる。パネルの下の環境への影響は大きい。一方、風車と違い、作動音や振動はなく、台風などで破壊されるリスクも少ない。太陽光パネルは、環境へのダメージは比較的低く、メリットの大きい発電方法といえる。

詳細を見ていこう。

■環境に影響せずに設置できる場所の研究が必要

これまでパネルは、民家などの屋上に設置されてきた。この場合、屋根に当たる太陽エネルギーをパネルが吸収した方が、建物の内部に熱が届かなくなり、冷暖房の効果もよくなる。発電と両方のメリットを得ることができて、合理的だ。

建築物の屋根面は、戸建て住宅のほか、マンション、ビル、工場、店舗などさまざまあり、そのすべてに設置可能だ。とはいえ、発電効率を考えると、南向きに設置する必要があり、密集地では隣の日陰になってしまえば設置できない。本来は、設置場所は発電効率がよい場所から順に選択されるべきだが、実際には建物オーナーの意思と経済状況に拠っているため、必ずしも効率重視では選ばれていない。そのため、パネルの能力が活かせていないという欠点があった。

効率的な場所への設置を可能にするための仕組み作りが遅れており、これがパネルのメリットが出せずに、欠点になってきた。

ではどのように解決すればよいか。

設置場所のオーナーとパネルの設置主体を分離し、オーナーの経済力や意思がなくても、許可さえ出せば設置できるようにすればよい。具体的には、パネルを設置したいが、自宅の屋上に日照が少ない場合、資金を提供して他の建物にパネルを設置し、メリットを資金提供者が得られる仕組みをつくる。出資はファンド形式にすることも可能で、そうすれば通常必要な数百万円というまとまった資金がなくても、パネルを設置することができる。現在は、住宅などのオーナーが資金を出すという想定しかしていない制度になっており、屋根を「貸し出す」ための権利や制約の制度作りや、つくった電気をどのように使い、電力の価値をどのようにやりとりするか、しくみがない。

電力は非常に制約の厳しい電気事業法で規制されているため、実質的に個人が自分の家に設置する方法以外、実現がむずかしい。規制緩和と制度改革によって、もっとも効率のよい設置が手軽にできるように改めることで、発電効率・投資効率の悪さを改善できる。

マンションなど集合住宅に設置する制度的なしくみが弱いことも、課題だ。これまでの制度は、パネルでつくられた電力は、まず住宅オーナーが自家消費し、余剰の電力を電力会社が買い取るというしくみで、適用になるのは実質的に個人宅のみだった。マンションの屋上は共有部分になり、住民が資金を出し合ってパネルを設置しても、余剰電力の買取制度は適用されずに採算性が悪いし、そもそも余った電力を電力会社が買い取る義務もない。この制度上の欠陥によって、パネルの普及が進まなかった。今年成立した「固定価格全量買い取り制度」は、電力会社にいって価格での買い取り義務を課すもので、これによって問題は解決するとみられるが、まだ価格などが未定のため、効果が上がるかは観察が必要だ。

同じように、工場やオフィスビルへの設置も、固定価格全量買い取り制度で、現実的になるだろうが、同じく、価格設定など実施の方法に注視する必要がある。

ここまでが、空きスペースに効果的に設置できていない問題の解決策だ。

次に、農地などに設置することができるか検討する。

ソフトバンクの孫正義氏が休耕田にパネルを設置する構想を発表したとき、設置すれば農業ができなくなると批判が集まった。確かに農地に平置きで設置すれば、農地に日照があたらなくなり、農業ができないが、実は解決策がある。

まず、農地といっても、田んぼのあぜ(田んぼを仕切る段差の斜面)のような、耕作していない場所への設置は可能だ。この場合は、農業生産には影響しない。

農地に設置することも可能だ。姫路に本社を置くフジプレアムが開発した「農地用太陽光発電システム」は、農地に2?3メートルの支柱を立て、その上にパネルを設置する方法で、農業と発電の両立を実現している。太陽の動きに合わせてパネルを向けるトラッキングシステムを備えることで、発電効率を上げる同時に、パネルを農地から上に設置することで、農地にできる日陰が日照とともに動くようになり、農産物の生育に影響を与えないことが確かめられている。この方法を使えば、農業をしながら発電ができ、世界中の農地がパネル設置の対象になる。支柱やトラッキングシステムの分、コストが上がるのが欠点ではあるが、トラッキングによる発電効率の向上と相殺できるところまでできれば、ポテンシャルは高い。

農地の設置する場合は、農地法など関係する法令の改正が必要になる。現状は、農地は農業以外に使うことができないので、これを改正して、条件に合ったパネル設置ができるようにするべきだ。これは技術的、システム的な欠点ではなく、人間が作った決まりが時代に合わないだけであり、変更可能である。

他にも、太陽光パネルの「欠点」として次のようなことを挙げる人がいるが、いずれも「欠点」と呼ぶようなものではない。

・夜や曇り、雨の日は発電できない
→真夏の日照が強いときに最大限に発電するので、需要のピークカーブにはあっているというメリットと相殺して考えるべき。

・汚れて発電効率が落ちる
→どのような機器でも、一定のメンテナンスは必要。汚れが過度になってメンテナンスが追いつかないという報告は今のところない。

・予定より寿命が短い
→機器の故障はどのようなものにもある。では過剰に壊れやすいかというと、パネル生産時の、配線や接続などに弱点のある機器、要するに技術不足によって起きていることが多く、課題を踏まえて適切な設計・組み立てがなされたものなら、30年を超える寿命がある。

・高価である
→大型風車と比べると、高価で発電コストも高い。しかし普及とともに価格が下がっていて、今後も価格低下が見込まれている。

全体として、欠点は少なく、欠点を補う手法も開発されつつあるため、大型風車よりむしろ、推進に支障は少ない。

■小型風車も欠点は少ない。

風車の中でも、10kw以下程度の小型風車も注目されつつある。効率のよい風車が開発され、費用対効果の面でも、大型風車にはおよばないものの、太陽光パネル並みのコストパフォーマンスになってきた。

大型風車と比べて風速が小さくても発電できること、風切り音が小さいことで、ビル風の強い都市部や、沿岸部の工業地帯などで太陽光パネルと併設することができる。

デメリットや環境への影響も少ない。大型風車のようなバードストライクの可能性も小さく、渡り鳥への影響も小さい。羽根の直径がせいぜい数メートル程度なので、低周波の振動も出ない。

小型風車は今後もっと注目されていい発電方法だ。

■小水力発電も欠点は少ない

日本で推進すべき発電方法として、小水力発電がある。

従来の水力発電は、大規模なダムを造って行う。生態系が湖底に沈んで失われてしまい、ダメージが大きく、下流の生物や人間の生活への影響も大きい。

一方小水力は、ダムを造らないか、ごく小さな堰堤程度のダムを利用して行う。

小さなものでは、山間地の川幅数メートル程度の河川を使って行う。日本の河川は急流で水量が豊富なので、小さな河川でもエネルギーのポテンシャルは大きい。こういった河川い直径50センチ?1メートル程度の取水パイプを設置して水を分岐させ、数100メートル先まで緩傾斜で導管して、そこから元の河川の下流に向けて水を落とすと、落差数メートル、数十メートルのエネルギーによって発電ができる。やや大規模なものだと、導管を数キロ、落差百メートル程度の大型の小水力もあるし、川幅1?2メートルの農業用水でさらに小規模のでも発電できる。

小水力は、大規模水力と違って、水をせき止めるダムを造らないため、設置が容易で、環境への影響も少ない。また、実質的に他の利水に影響を与えない。

※他の利水への影響とは、小水力発電の設置で農業用水が減ってしまったり、水道水が減ったり汚れたり、ということで、これらの悪影響がほぼ皆無である。

騒音も小さい。もともと河川の音があるため、それを越える騒音は小さく、振動などもない。水流の季節変動によって発電が上下することはあるが、基本的には発電量は24時間、年間を通じて一定で、電源として使いやすい。コスト的にも、基本的に水流をとらえる水車やスクリューと発電機があればいいので、低コストであり、採算に乗りやすい。

今後は、日本中の小規模河川や農業用水に可能な限り小水力を設置していくことになるだろう。

課題は、河川を管理する国土交通省や農水省が、これまでの法制度を縦に設置許可を出さないことだ。これはまさにムダな規制の典型であり、政治的に解決すれば、一気に普及が進む。

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以上、大型風車以外の太陽光、小型風車、小水力発電のリスクは小さく、解決策もあるという点で、導入を進めることは合理的だと考えられる。