原発につかうウラン燃料は地下資源ですから、枯渇性だ。その量も石油やガスと比べて、特に多くない。それでも、日本は原発は地下資源の枯渇に対応できるエネルギーだと行ってきた。その根拠や、ウランの「使い回し」である、「核燃料サイクル」。<使用済み核燃料→再処理→再燃料化→高速増殖炉→燃料が増える→再処理→再燃料化>というプロセスが実現できるので、無限にエネルギーが使える、という説明だった。
そのために、青森県の六ヶ所村に再処理工場を作り、福井県敦賀市に高速増殖炉もんじゅをつくって、このサイクルを実現すべく、開発中だった。しかし、数十年、5兆円を超える金額を両方に投じても、どちらも稼働できず、事故ばかり起こしている(世界各国はすでに撤退し、取り組んでいるのは今や日本だけ)。
その「核燃料サイクル」はすでに破綻していると、僕らは指摘し続けてきた。燃料が増えることもないし、開発は無理。しかし、政府は表向き、看板は下ろしていなかった。
その核燃サイクルが、「燃料を無限に使う」タメではなく、「使用済み燃焼の処理に困ってやっている」というように、詭弁だったことが、国の秘密会によって明らかにされていた。
これで核燃料のメリット(無限に使える)も失われていることが 、はっきりした。
原発を使う根拠はどんどん崩れている。
「ウラン節約」ウソだった 再処理「原発維持のため」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012090502000123.html
原子力委員会が原発推進側を集め昨年十一月に開いた秘密勉強会の場で、電力各社でつくる電気事業連合会(電事連)の幹部が、使用済み核燃料の再処理事業は、原発に使用済み核燃料がたまって稼働できなくなるのを防ぐため、と明言していた。国も電力会社も、再処理はウラン資源を節約し、エネルギー面の安全保障のためだと再三強調してきたが、虚偽の説明だったことになる。
発言者は電事連の原子力部長。内閣府の検証チームが集めた議事資料などによると、昨年十一月二十四日の会合で、原子力委の鈴木達治郎委員長代理が「電力会社としては、コストが高くても再処理する理由があるのか。とりあえずは(使用済み核燃料を)処理できるということがメリットか」と部長に質問した。
これに対し、部長は「その通り」と即答し、「再処理路線でなければ、使用済み核燃料の受け入れ先がなくなり、原発が止まってしまうことになる」と述べた。
本紙の調査で、国内約六割の原発では、稼働させれば数年内に使用済み核燃料プールが満杯になる。核燃料が交換できなくなり、それ以上は稼働できず、行き詰まった状態になると判明している。
鈴木氏の質問は、電力各社にとって再処理を続けるメリットは、プールにたまった使用済み核燃料を減らし、原発を維持することかどうかをただす趣旨。部長の答えは、まさに電力会社の本音を語ったものだ。
ただし、日本の原子力政策の建前は、再処理で出たプルトニウムを使い、混合酸化物燃料(MOX燃料)にしてプルサーマル発電で再利用。それが「資源小国の日本にとってウラン資源の節約につながる」ということだ。その建前で十兆円もの巨費を投じてきたが、再利用の輪は完成しておらず、MOX燃料の利用計画も立てられなくなっている。
政府・与党は近く、将来の原発比率をどうするか結論を出す見通しだが、再処理を含め原発を維持しようとする動きは根強い。政府からは、原発ゼロにした場合、光熱費がアップするなど否定的な側面だけを宣伝する動きも強まっている。
だが、これまでの再処理の建前はうそで、原発を運転し続けるための方便ということがはっきりしたことで、再処理事業の存続意義はますます揺らぐことになりそうだ。
電事連は「(秘密勉強会の)出席者や発言者の確認をしていない」として、検証チームへの資料提出を拒否している。